【海外視察】イタリア保育 Reggio Emilia訪問 ーレッジョ・エミリア・アプローチ③ー
2024,03,14
海外視察レッジョ・エミリア・アプローチでは、プロジェクタツィオーネと呼ばれるプロジェクト保育を行っています。
いくつかのエピソードを紹介していただいたのですが、中でも印象に残ったエピソードを少し紹介します。
「生き物」というテーマが発展し、「1番怖い生き物を書こう!」と子どもたちが思い思いに絵を描くシーンでの出来事。
子どもたちは、自然な流れで絵を描いていき、見て!と先生に作品を見せて行きます。
ある子が先生に見せにいくと先生はこう答えました。
「この絵は全然怖くないわ。どうしたらもっと怖くなるかな?」
その子はなるほど!と頷いたかと思うと、真剣な表情でまたさらに怖い目を書き足し、最終的にはとても満足いく絵に発展していきました。
その子の”もっと怖くしたい!”という思いに寄り添ってあえて怖くないと答えたのかと思ったのですが、実は先生に声をかける前に本人が小さな声で「うーん、怪物に長靴を履かせたらあまり怖くなくなっちゃったな。」と一言自分で言っていた場面があったそうです。
ふと流してしまいそうな子どもの一言にもすぐに気づき、そこに寄り添う関わりを常に行っていることに感動しました。
もし、その子の言葉や思いを拾っていなかったら「まあ!よくできたわね!」とはじめに絵に対してこんな声をかけていたかもしれません。
寄り添うことの本当の意味とは?
優しく声をかけることもとても重要。
しかし、その絵を評価したりする事なく、その子の本当にしたいこと、求めていることに目を向ける、思いを込めた寄り添いだと感じました。
日常の中でよくある絵を描くという活動ですが、こちらを行う際の環境作りも想像を遥かに超える工夫が沢山ありました。
子どもたちが「怖い」表情を見れるように自然と鏡を設置されている環境
ペン、色鉛筆、クレヨン、想像できる書くものはもちろん、普段絵を描くと言った時には出会わないような材料もあえてそばにおきます。
そして紙も、一種類、二種類ではなく、大きさ、素材なども様々。
この選択肢の広さがあることで、子どもたちの創造力が引き伸ばされていきます。
こういった環境を作り出すために大人も好奇心旺盛に、常にいろんな発想を巡らすことが必要です。
もう一つ大切なのは、プロジェクト活動は『グループとしての活動』ということを意識することでした。
個人の興味や権利を尊重することをとても大切にしているのですが、それは一人一人ではなく、社会と同じ複数人でできるように考えられていきます。
そうした複数人の思いや興味に沿った活動を設定するには保育者の高い専門性と、子どもたちひとりの意欲が必要です。
社会の一員として、みんなと共にやり遂げる力をつけられるようにどのように声をかけるのか、どんな活動を繰り広げていくのか、これらの保育技術が広がっていました。
レッジョ・エミリアの教育は、『レッジョ・エミリア・アプローチ(理念・保育観)』であって『メソッド(方法論)』ではありません。
今回の視察では現地の先生方も、日本でできる保育をしていってほしいと仰っていました。
私たちトゥインクルキッズグループではイタリアのレッジョ・エミリア・アプローチ / ドイツのバイエルン州保育 / オランダのピラミーデ(旧:ピラミッドメソッド) / ニュージーランドのテファリキ(Te Whariki)など、これまで様々な海外の保育を視察・学び・取り入れ、独自の保育手法としてトゥインクルキッズアプローチを実践し、日々アップデートしてきました。
今回の海外視察の経験も踏まえ、これからもその時代や子どもたちに合った保育手法としてトゥインクルキッズアプローチを探究していきます。